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4. Chef's recommendation  (本日のおすすめ)

お気に入り&想い出のカセットについて
更新はネタの入り次第(^^;

Pioneer/T-700S ('06/2/5)

この度新たに我が家に迎えたデッキ、パイオニアのT-700S。
このデッキにはF.L.A.T.システムという、所謂オートキャリブレーションが付いていますので、色々なテープを弄ってみて時々レポートしてみようと思 います。
T-700S

で、先ずはパイオニアの旧標準テープに敬意を表して、'80頃のノーマル"N2"とハイポジ"C1"をテスト。本機の3世代ほど前になる"A-*"シリー ズの頃の標準テープです。
まぁあくまでも"旧"なので、本機の標準テープは不明なんですけどね。ちょっと前('89)のT-838がAD(TDK)/UX-Pro(Sony) /MA-X(TDK)という、ハイポジだけ妙に突出した組み合わせだったので、変わっていないとすればハイポジだけかなりのディープバイアスが予想されま すが・・・。

N2
で、ノーマルのN2ですが、これは当時のOEM元の富士/前期ER相当。他社同等機ではソニーの初代BHF、TDKの紙ラベルAD、マクセルの無印UD、 デンオンの銀ラベルDX3といったクラシカルな面々。当然、バイアス浅めになりますね(メーター視認で-10%程度)。もともと"Range4"= MOL:4dBを名前に持つテープの後継なので、ピーク部分でメーターが+4dBを超えるか超えないかの辺りに録音レベルを設定。音源はパイオニアってこ とで、ワーナー・パイオニア(当時)つったらこの人でしょう!の中森明菜のCD"BEST(T〜V)"から適当に。
当時の自分のミニコンポが、標準テープ(HF-S)のバイアスがやや深めのソニーだったためか、富士のテープは低域の量感はあるものの、かなりのまったり 系(ぶっちゃけ"眠い音")の印象が強かったのですが、先ずはヘッドフォンでモニタしてて驚嘆!! ・・・ほぼ音源のままです。しかも妙なまったり感がス パッと消え、むしろシャキッとした音。デッキの性能もあるのでしょうが、これが本当の姿だったのか・・・と目が覚める思いです。後期ERのキャッチに"体 感のシティスピリット"とありましたが、正にそんな感じ。後期ERも試してみたくなりましたね。
C1
次にハイポジのC1。こちらは同じく富士/UR相当。他社同等機でソニーのJHF、TDKの紙ラベルSA、マクセルの初代XLU、デンオンの銀ラベル DX7とこれまたクラシカル。やはりバイアスは浅めで、同じくメーター視認で-10%程度。こちらも先代が"Range4x"=MOL:4dBの名を持つ ので、録音レベルを同じようにセット。音源は私がよくハイポジのベンチマークに使う、イ・ムジチ演奏のヴィヴァルディ作曲・四季(フィリップス)。脳髄を 切り刻むかのような烈しいヴァイオリンを如何に再現できるかがポイント。
こちらもほぼ音源のまま再現してます。強いて言えば、バックで鳴っているコントラバスがやや引っ込んで聞こえるのと、全体に中域の量感が増した感じ。と 言ってもイヤな感じではなく、音に艶が出ている方向なのでこれはこれで良し。年代物のハイポジですらこれですから、'80年代後期のハイエンド機だとどう なることやら・・・と期待と畏れを抱きつつ、次回。


maxell/XLII(USA版)
('05/5/22)

通販限定品の先駆にしてSAと並ぶTypeIIリファレンスの双璧、XLII。
XLII(USA)

<外観と外装>
XLII_fXLII_a
 外観はかつてのハイエンド、XLII-Sと同形の小窓タイプで、微妙に表面処理を変えてあります。流石に素材は"重カセ"の異名を取ったXL-IISの ような高比重プラとはいかず、通常の軽量プラなのはコスト面で致し方ないところ。先代にあたる響ハイポジも同じです。このあたり、TDK/MA-EXと同 様の手法ですね。ただ、本体色はどう せならグレーではなく響のように黒にして欲しかった。これだけで損をしているような気がするのですが・・・。
 これもコストの絡みと思いますがカセットケースが安っぽい社外品の透明なタイプなのはいただけない。スリムタイプでない点は評価しますが。私は現行UR のややスモークがかったタイプの自社製ケース(ラウンドケースQ)と交換してます。こっちの方が渋い本体色とマッチしていい感じ。ただ、URもここ最近は 社外品ケースに切り替わりつつあるのが・・・orz

<機構部>
XLII(USA)HB2
 機構部は、国内最後のリファレンスクラス、響ハイポジのそれを継承しています。メカニズムも同じ"Energy Effecient and Anti-Resonance"メカニズム。これはバブル後にXL系が一時途絶した後に名を変えて復活したCD-XL系(響の前任機)からのものです。か つてのXL系ほどのクオリティは見られないものの、現行品としては一級の剛性感です。
XLII(USA)_hubXLII(C)_hub
 また、ハブリールが、本家XLIIの2層構造タイプ(外周部を別パーツ化して真円度を向上;当時のカタログより)から、大幅にコストダウンされたUR等 と同じ軽量化肉抜き穴なしのタイプになっています。これもまたコストダウンの結果なので致し方ないのでしょうが・・・。かつて世界一とも賞賛されたメカニ ズム精度の鬼たるマクセルを知る身にはちょっと淋しい現実です・・・。

<音質>
XLII(USA)XLII(C)
 丁度手許にあった'85年型XLII(広窓ハーフになる直前の全面薄金色ハーフラベルのタイプ)との比較でいってみます。
 通常のコバルト被着γ3酸化鉄(;マグヘマイト)タイプEpitaxial世代のXLIIは、全体に繊細な音という印象。"ガラスのヴェルヴェット"と 私は勝手に名付けているのですが、同じ高音域までシャープに描写するハイポジでも、例えばSAやSA-Xに代表されるTDKのAvilyn系のようにひた すら突き抜けていく感じではなく、最高潮に達する寸前でふわっと崩れていく儚い感じがマクセルの身上でしょう。これは低音域を強化して重厚な音質となった XLII-Sも基本的には同じです。
 比べて、同じコバルト被着ながら芯材が4酸化鉄(;マグネタイト)となるBlackMagnetite世代の現XL2ですが、微妙に音質傾向が変わった 印象。旧XLシリーズ(I,II共通)特有の、中低域のエネルギー感が弱く、高域が伸びながらもどこか柔らかい繊細な音質からすると、こちらはかなり中低 域がはっきり出る印象です。高域も比較的シャープで、どちらかというと、同社でも同系列の磁性体(BlackMagnetite)を使用している最後期 UD2や、他社ではソニーのUCX-S〜UX-S〜ES2のSuperUniaxial系に近い、よく言えば今風な音ですね。
 それでも、ソニーのひたすら派手で修飾の多い音質、TDKのどこまでも硬質かつシャープな音質からすると、やはりというか、柔らかめに鳴る中にほんのり と艶の乗る楚々とした音質はやはりマクセルならでは。中低域が強化されたのは、ソースを選ばなくなったという点ではむしろプラス点でしょうね。これでXL も歌モノに使えそう(Epitaxial時代は先述の特徴から歌モノとはあまり相性が良くない印象があったので)。ただ、どちらかというと低域がかなり強 めに鳴るので、歌手の声質によっては相性があるかも知れません(アカペラ系やバックがアコースティック系中心の歌はOK。打楽器が強い歌はヴォーカルがや や引っ込み気味になる傾向があるようです)。ただ、心材のマグネタイトの特性からか、中低域が粘るようになった分全体の繊細さはやや失われてしまった点は 致し方ないところでしょうか・・・。
 なんだかんだ愚痴めいたことも言いましたが、それでも今の低価格ハイポジとは別モノの音であるのは確かです。現行品ではおそらく最良と思われるPS2よ り+2ばかり大きめに入力しても平気なのは流石というか。

<使用機器>
録音デッキ;ビクターTD-V515 (Cal,Level調整,Dolby-B on,CD direct input)
再生HPS;ソニーWM-EX2000,同WM-EX655 (Dolby-B on)
HP;ソニーMDR-D66"eggo",テクニカATH-U66,アイワHP-SW10

<参考文献>
酸化鉄系磁性体;マグヘマイトとマグネタイト
(from TDK HP"Tech-Mag"「じしゃく忍法帳」第67回「岩石と磁石」の巻)
http://www.tdk.co.jp/techmag/ninja/daa00590.htm


TDK/SA(USA版) ('05/4/4)

巷で何かと話題の米国版SAです。
SA(USA)

<外観と外装>
SA60usfSA90us
 パッケージはSAのイメージカラーの青。その中央にズドン!とTDKのロゴとSA**(**は時間数)の文字のみというシンプルかつスト レートなデザイ ン。しかし何というか・・・歴代で一番分かり易いかも。
 ケースは、USA仕様共通のセミスリムタイプ。国内最後のメタル、MA-EXにも採用されていたアレです(標準とスリムの中間の厚さで、標準タイプと同 じ 開き方の奴)。ややスモークがかってて高級感はあります。
 インデックスカードの紙質は現行CDing等のようなペラペラのタイプ。嗚呼・・・。尤も表面処理は程よくしっとりしているので、ペンの乗りは悪くない の ですが。

<機構部>
SA usa SA jpn
 肝心のハーフ。走行のキモですね。外見は国産の最終型(右)と同型のAR-RC(AntiResonance-RigidConstruction)系 を踏襲し た部分二層構造タイプ。本体表記は"AntiResonance-RigidConstruction(AR-RC)V"となっており、ビスも使用されて いない(超音波融着のみ)ので、この辺りコストダウンの跡が無くもないですね。

<C-60=前期型/C-90=後期型? 説>
SpringPads
 コストダウンと言えば、(以下、C-90のみ)遮磁板も省略されてるのがちょい気になりますが・・・高級テープでそりゃないでしょ、TDKさん(T- T)
 ついでに言えばスプリングパッドもAD1/2までは辛うじて残っていた2点支持タイプではなく、AEと同じ1点支持タイプ。些細な点とは言え、重要な部 品 ですからね・・・
 尚、C-60には遮磁板はあり、スプリングパッドも国内版とは異なるものの支点の幅の広い安定感のありそうなタイプ。・・・実は米国版SA-Xと同型で す。
 C-60とC-90、在庫の関係かも知れませんが、部品品質から推測するに比較的良質なC-60が前期型、コストダウンが顕著なC-90が後期型に該当 するのではないでしょうか?

<音質>
 ややハイ上がりのシャープで解像度の高いTDKトーンは健在。普及タイプのCDing2と似ているものの、音に硬さがなく、全域に亘ってより滑らかに響 く感じ です。
 TDKのハイポジは研ぎ澄まされた刀を思わせるシャープな音質と、際だった低ノイズによる解像度の高さが身上ですが、普及タイプのSR系(SR/SR- X/CDing2/etc.)と高級タイプのSA系(SA/SA-X)にははっきりと格の違いというかキャラクターの違いがあり、低域と出力重視でシャー プでは あるが硬さのあるSR系に対し、低域の力感では同等かやや劣る場合もあるものの、シャープながら肌理が細やかなおかげでそれが耳に付かないところがSA系 の高級機たる所以であろうと思います。キャラの違いと敢えて言ったのは、SR系が全盛だった当時のユーロビートやストリートロック系音楽にはこの音 質がむしろ合っていたからで、エレクトリック或いはビートのSR系、アコースティックのSA系といったイメージですね。
 このSAは、国内版からすると更に低域寄りになっているため繊細感がやや後退した感があるものの、それでもSR系とは一線を画す肌理の細やかさは健在の ようです。
特に弦楽器の艶やかさ、木管楽器の消え入りそうな幽かな音の表現はSA系ならでは。ノイズレベルの低さではSR系を凌駕していますね、流石に。

<使用機器>
 録音デッキ;ビクターTD-V515 (Cal,Level調整,Dolby-B on,CD direct input)
 再生HPS;ソニーWM-EX2000,同WM-WE01 (Dolby-B on)
 HP;ソニーMDR-D66,テクニカATH-EM7,ソニーMDR-E888